1 外反母趾(がいはんぼし、がいはん)

外反母趾は足の親指が外を向いてしまい、指の根元のところが靴に当たって痛くなる病気です。親指だけでなく、足アーチが低下してくると偏平足になり、足の裏の痛みや、小指側の痛みもおきる病気です。

原因としては、
1 先天性要素(若い方や、男性の外反母趾など)
2 ハイヒールの履きすぎや、関節の緩み、筋力低下による後天性要素
3 1と2の混合型
2と3の患者さんが最も多く、30歳代から60歳代の女性によくみられます。若い頃にハイヒールを履いて仕事をしているときに痛くなり、やや外反母趾傾向になると40歳以降に足の筋力低下、関節の緩みを生じると来た頃、変形が加速して悪化することが多いようです。このような変形が始まると、1から2年くらいで一気に変形が加速して重症になるケースが見られます。
ご家庭でやっていただける予防.治療は、

筋力訓練
足アーチサポート
市販の外反母趾矯正装具の装着
外反母趾用の靴
バニオンパッド
などです。下記に詳しく述べます。

筋力訓練の仕方

1.バスタオル・ギャザーリング
最初にバスタオルを床に広げます。その後足の指でそのバスタオルを巻き取っていきます。慣れてきたら、バスタオルの上に重い本などを置いて同じように行います。大切なのは、足の指に力を込めて、足の裏側にハリを感じながらしっかり巻き取るようにすることです。10セットくらい行い、足の裏が疲れた感じがしたら終了です。この運動は足のイントリジック・マッスル(足内筋)のトレーニングになります

2.親指歩行
まず足が痛くない運動靴を履いてください。歩きながら、自分が足をどのように使っているか感じてみてください。人差し指と中指の少し後ろのところに体重がかかっていませんか?歩行中、足が離れる瞬間にしっかり親指で蹴りだしていますか?
外反母趾の方の足は、最後のけりだしがうまくいかないと思います。これは,外反母趾によって親指が回旋して外側を向いてしまい、母趾の屈筋がうまく使えない症状です。こうなると、歩行けり返しの力の負担が、中足部の足根関節というところに集中し、関節が緩みます。足のアーチがどんどん壊れていき、HYPERMOBILE 1st RAY(不安定な母趾列) と呼ばれる状態になり、外反母趾と偏平足を悪化させ重症化します。(専門的には前足部起因の偏平足悪化といいます)重症化すると手術も難しくなります。
この悪循環を断ち切る運動は、親指歩行という歩き方です。
では、治療をする前に、外反母趾のある方は、親指と人差し指の間に、クッションを挟みましょう。大きな薬局で売っている趾間装具を使ってもよいですし、足の指が分かれている靴下に貼り付けてもいいと思います。素材は痛くないものであれば何でもよいです。ゴム素材のものは、少し滑るように、布を巻いたほうがいいようです。
次に、足の土踏まずの下にクッションか、市販のアーチサポートを入れましょう。異物感があるくらいの十分な高さにしてください。(膝や股関節に疾病のある方は、痛みが増強する場合がありますので、十分注意してください)
痛くない運動靴を履いて歩き出しましょう。その時に、親指で地面を掴むように歩行します。指に力を込めて、足を短く詰めながら、足の甲を上に挙げる感じです。歩行感が、しっかりしてきましたか?地面を掴むと、体が前にいきやすくなる感じがすると思います。足全体を詰めるように意識して歩行することで、足のイントリジック・マッスル(足内筋)のトレーニングになります。1ヶ月もこれを意識して歩いていますと、足の甲が高くなってきます。そうしたら、整形外科でレントゲンを撮ってみてもらって下さい。外反母趾角が改善していることでしょう。

3.片足バランス起立
若くて運動能力の高い方には、最もお勧めの方法です。転倒や膝や股関節に痛みが出そうな方は、運動負荷がきついので行わないでください。
まず、片足で立ってみてください。最初は壁やテーブルに手をついてバランスをとりましょう。全ての足の指に力をいれ、床をつかむ感じで足をぐっと安定させましょう。膝を少し折って、上げた足を後ろに持っていきます。自然に上体は前に傾きますが、両手を開いて体を安定させましょう。膝の痛みが出る方は中止するか、壁に手をついてください。ゆったりとしたリズムで、上げた足を前後左右に上げ下げしていきます。これは、バランスをとるための全身筋力運動ですが、扁平足予防、転倒予防になります。また、強固な足のエクストリジック・マッスル(足外筋)およびイントリジック・マッスル(足内筋)のトレーニングになります。ゆったりとした音楽を聴きながら片側5分程度行ってみてください。足の裏、足首の内側、外側、アキレス腱、足の指に十分に力を込めて、しっかり安定させ床に根を張るイメージで足を使ってみてください。2週間で歩行が楽になり、1ヶ月程度で足アーチが張ってくるでしょう。

4.アーチサポート
足の土踏まずに入れるクッションのことです。足の骨は、真ん中が地面から浮いた状態になっています。外反母趾が悪化してくると、足アーチが壊れて足が偏平化してきます。(先天性の素因によるものを除く)また偏平足になると、外反母趾は悪化します。アーチサポートはこの悪循環を、クッションでとめようという物です。
 足アーチは、内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチと呼ばれる3種類のアーチがあります。最も重要なのは内側縦アーチです。1ST RAYと呼ばれる母趾-第1中足骨-内側楔状骨?舟状骨の関節が緩んで、グラグラになってくると、とのアーチが偏平化します。こうなると、外反母趾、開張偏平足、内反小趾という状態になり、靴がはき難いだけで痛くて歩けない足になってしまいます。